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メモリーズオフ〜それから〜稲穂信考察

序文

作品を追う毎に稲穂信の存在感が低下していると言う人がいます。 とくに、4thで存在感が低下したと言われており、それはテンチョーの死によって、稲穂信が変わったからだと言われています。 それが本当かどうか、検証してみました。 尚、5thでの活躍はメモリーズオフ5とぎれたフィルム稲穂信考察をご覧ください。

結論から言えば、

  • 重要の場面の多くで大活躍しており、存在感は低下していない
  • 主人公のプライベートにかなり踏み込んでおり、距離を置いたりしていない

ということで、稲穂信は何も変わっていません。

信のおせっかい

学園編〜いのり編〜カフェ編

ゲーム開始から間もなく、鷺沢一蹴の様子が変なことに気づいた稲穂信がちょっかいをかけてきます。 振られたことがバレたと思った鷺沢一蹴は、つい、口を滑らせて、陵いのりとの関係に問題が生じたことを言ってしまいます。 稲穂信は、詳細を聞き出そうとしますが、鷺沢一蹴は答えをはぐらかす。 夕方、鷺沢縁が訪ねて来ますが、縁寄りの選択をすると、稲穂信の部屋で待っていたことを聞かされます。 もしかすると、鷺沢縁の口から稲穂信に真実が伝えられているかも知れません。

後日、ならずやで次のような会話が為されます。

ほたる「ねえねえ、いのりちゃんは元気?電話では挨拶したんだけど、まだ会ってないから」
信「ストップ、たるたる。いのりちゃんのことは禁句。今、ケンカ中らしいから」


その瞬間・・・ズキリと・・・胸が痛んだ。
のんちゃんやシンと話している間は忘れていた、胸の奥底の傷が、また顔を出してくる。
それが、一瞬、オレに笑顔を装うことを忘れさせた。
信「おい、一蹴・・・?」
ほたる「一蹴君・・・?」
しまった!
一蹴「は、はは・・・なんて顔してるんですか、やだなァ」
無理矢理笑う。
でも、オレの乾いた笑い声は、虚しく響くだけだ。
ほたる「ねぇ、ホントのホントに、相談に乗ってあげるから。だからなにがあったか、話して?」
信「いつかは分かることだぜ?」
一蹴「・・・」
一瞬、言いかけたけど・・・やめた。
まだ、自分でも整理できてないし。
それに、失恋で愚痴をこぼすなんて、カッコ悪い。

稲穂信は、鷺沢一蹴をかなり心配しており、内緒にしても無駄だと諭して、何とか、真相を聞き出そうとしていますが、鷺沢一蹴はそれを拒否しています。

黒須カナタが単独で来店したとき、誰から聞いて来たのか、振られたことを励ますかのような台詞があります。 接点のある人物を考えると、情報源は、稲穂信ではないかと思われます。

陵いのりが荷物を取りにきた後、稲穂信は、鷺沢一蹴の部屋に押し掛けて来ます。

信「分かってねえなあ。あんな時は、勢いに任せてダーッと押し倒してだなあ」
一蹴「そんなことしたら、ますます嫌われる」
信「時には強引な方が、”キャー、男らしいわ。ポッ”ってな風に思われるんだよ」


信「でも、おまえら見ててよ〜く分かった。おまえの方がフラれたんだな。まあ、当然か」
一蹴「見てたのかよ!?」
信「たまたま通りがかってな」
一蹴「ここは2階、あんたの部屋は1階」
通りがかるわけがない


信「ま、二人の問題だからあんまり干渉する気はないけどさ」
とことんオレの話を聞くつもりはないらしい。
信「こうなったら男らしく、きれいさっぱり忘れちまった方がいいぜ?いかにも未練が残ってますって顔してるのは、かっこ悪いだけだ」


でも、おかげでヘコんでいた気持ちが少しだけ持ち直せた

随分と、おせっかいですね。

鷺沢一蹴が携帯を買い替えた後、稲穂信は携帯に電話してきました。 鷺沢一蹴は番号を教えていないと言っています。 変えたばかりの携帯番号を調べてまで電話するほど、稲穂信は鷺沢一蹴のことを気にかけているようです。

終盤に近づくと、

信「まだいのりちゃんのこと引きずってるのか?青春だねぇ。メソメソしちゃって」
一蹴「誰が?」
信「してるね。おまえがトモヤと戯れるのは、落ち込んでる時って相場が決まってる」
どうやらシンは説教モードに突入したらしい。
信「さっさと忘れちまった方が楽だぜ。どんなに未練を残してても、ヨリは戻らないんだからな」
一蹴「・・・あんたに言われる筋合いはない」
信「すぐそうやって思考停止をするのが、悪い癖だな」


恋人としての繋がりは失っても、人間としての繋がりは残していきたい。
それは、間違った考えだろうか?
・・・無理だよ。分かるでしょ?


信「元カノジョと、別れた後も普通に接するなんて、相当しんどいことだぜ」
信「そこまでしんどい思いしてでも、友達として続けていきたいって思うのは、その裏に下心や期待が残ってるからだろ?」
シンの説教は、それなりに正論だから嫌いだ。
オレはなにも言い返せなくなる。
自分が、青臭いって思い知らされる
だから、嫌いだ。


信「でも、おまえといのりちゃんの関係は、オレとたるたる、オレと静流さんの関係とは違う」
信「なにしろ付き合ってたんだからな。お互いに踏み込みすぎてる」
信「だから、すっぱりあきらめるか、とことんやるか。どっちかにした方がいい」
信「今のおまえは、すべて曖昧にしたまま、誰も傷付かないようにしてる。でもそんなの無理だ」
信「それじゃ、なにも手に入らないどころか、おまえひとりが損するだけだぜ?」
一蹴「・・・」
すっぱりあきらめるか、とことんやるか・・・。
でも、それができないから悩んでるんだよ
オレが黙ってると、シンが積もった雪をすくい取って、オレの顔にぶつけてきた。
一蹴「うわっぷ!なにすんだ!」
信「ま、今日の講義はこのへんで終わりにしてやる」

「おまえがトモヤと戯れるのは、落ち込んでる時って相場が決まってる」と言い切れるのは、それだけ鷺沢一蹴を気に掛けて観察しているからでしょう。 稲穂信には、確実にどちらが優れているか断言できることは干渉する一方で、どちらを選ぶにしろ一長一短となることは本人に選ばせるという、一貫した姿勢が見られます。 ここで言えば、「すっぱりあきらめるか、とことんやるか」どちらも選ばないのは損だから止めろ、どちらを選ぶかは自分で選べってことです。 そして、鷺沢一蹴は、どちらでもない選択を望んでいるけれど、それは自分でも無理だと認識しています。 つまり、鷺沢一蹴は分かっているのに行動できないわけで、稲穂信はその背中を押そうとしているわけです。

カフェ編で、鷺沢一蹴と花祭果凛に、カナタのオーディション参入を知らせたのも稲穂信です。 その時は、空気が読めなかったと謝罪して一度は立ち去ろうとしながら、鷺沢一蹴に引き止められて、情報提供しました。

雅編

細かいことながら、勝負の成功も稲穂信のアドバイスのおかげです。

二股の現場を見られて、藤原雅と会えなくなった後、静流さんに心配されてバイトを帰されて店を出た直後の信の台詞です。

信「静流さんは、何があったか聞かない・・・って、言ってたが、あいにくオレは、放っておけないタイプでね」

かなり積極的に踏み込んでいますね。 鷺沢一蹴は、一度は相談を拒否します。 しかし、稲穂信がしつこく食い下がると、説得に応じます。 その中の台詞の極めつけがコレです。

信「そういうヤツ、何人も知ってるよ、オレは。その度に言ってやるんだ。『この稲穂信さまが、いい知恵を貸してやるぜ』ってな」

このお節介ぶりは、昔と、ちっとも、変わってないじゃないですか。 その後、稲穂信は、藤原雅と会う方法をアレコレと真剣に考えてくれます。 そして、出た結論は、藤原家の家柄から、卒業生代表として答辞を読む栄誉を大事にするだろうから、卒業式には必ず出るだろうと結論づけます。 それを元に、担任に藤原雅のことを確認して、木瀬歩に会って、卒業式ジャックへと急展開しています。 もし、稲穂信のアドバイスがなかったら、藤原雅とは会えず終いだったでしょう。

縁編

鷺沢縁と初デートの待ち合わせのときの台詞です。

信「オレは女の子と、傷ついた動物には優しいんだよ」


一蹴「それで?どうして、オレが傷ついた動物だって?」
信「いのりちゃんのことだよ。落ち込んでるんじゃないかと思ってさ」
信「忘れるのも自由。未練を残すのも、おまえの自由だよ。道はあらゆる方向に伸びてる」
信「でもな、暗くなってウジウジするのだけはやめとけよ。この世にウジウジして解決することは一つもないからさ」


オレたちは、声を上げて笑いあった
一蹴「元気だぜ。そんなに落ち込んでない。今日もコレから遊びに行くトコだぜ?」
信「まさか、相手は女の子か?!」
一蹴「そ!」
信「お、すごいな!誰だよ?!」
一蹴「・・・縁だけどな」
信「いやいや、いいことだぜ。こあらんとパーッと遊んで、気晴らしして来いよ」
一蹴「言われなくても、そのつもり」
信「そっか。落ち込んでないならいいんだ。じゃーな」
一蹴「なんつーか、サンキュウな」


そんなことをつぶやきながらも、心の中で感謝する。
軽口ばっかり叩いているように見えるけど、シンはやっぱ大人だ。
見てるとこは見てるし、言うことは鋭い

本気で心配していますね。 本人も感謝しているのだから、的を射たアドバイスなのでしょう。 この後キツい悪戯でしっぺ返しがあるわけですが、それはご愛嬌。

陵いのりを探索する時は、マヂ・モード発動です。

信「・・・なにかあったのか?」
一蹴「いのり、どこにいるか知らないか?ルサックに来てない?」
信「いや、知らない。来てないとも思うけど・・・」
一蹴「そっか・・・」
信「緊急事態なんだな」
一蹴「・・・今すぐ、いのりに会いたいんだ」
シンは、オレの肩を拳で叩いた。
信「力・・・貸してやろうか?
一蹴「でも、今からバイトじゃないのか?」
信「見くびるな、バカ」
信「バイトと友人、どっちが大事かなんて決まってるだろ?」
信「もちろん−」
信「バイトだ。生きていくためには、労働は不可欠なんだよ。国民の義務でもある。働かざるもの食うべからず。嗚呼、労働はすばらしいなぁ」
一蹴「・・・」
信「んでもな、青春バカが泣きそうな顔で走り回ってるのを見て、のうのうとしてられるほど人間ができてないんだよ」
信「ネパールで開眼したっていっても、まだまだだな、オレも」
一蹴「シン・・・」
信「心当たりがあるのか?いのりちゃんの居場所」
一蹴「まだ探してない場所がある」
信「とりあえず、そこ行け。こっちも、なんかわかったら、電話する」


オレはルサックから駆け出した。
いつもは飄々としてるシンだが、こういうときは頼りになりそうだ。
強い味方を得たような気分だった。


一蹴「もしもし!いのりの居場所、わかったか?!」
信「知り合いに片っ端から、聞いてみたんだけど、今の居場所は分からなかった」
一蹴「そっか・・・」
信「でも、いのりちゃんらしい子を見たって言うヤツがいたぞ」
一蹴「ホントに?!どこで?!」
信「芦鹿島の近くに住んでるバイト仲間なんだけどさ、桜峰に行く途中で見かけたって。浜咲辺り・・・とか言ってたな」

冗談で一度落とすのはご愛嬌として、正確な居場所までは分からなくても、何とか役に立つ情報を提供しようとする姿勢が感じられます。 この情報を元に陵いのりの居場所が判明するので、稲穂信は非常に重要な役目を果たしたと言えます。

以後、稲穂信は、寝込みを襲われてパソコン持って行かれたり、自転車を勝手に持ち出されたり、散々な目にあいます。

果凛編

オーディションの夜、稲穂信は、鷺沢一蹴の部屋に押し掛けます。 そして、パソコンを貸してくれました。 何処からか事情を聞いてなければ、考えられない行動ですね。 これで生中継を見なければ、一蹴は自分の間違いに気づかなかったはずで、その後、野乃原葉夜と黒須カナタが迎えに来て、かつ、花祭果凛が律儀に待っている展開は出来過ぎでしょう。 稲穂信の行動の元になる情報源も黒須カナタ以外に考えられないので、オーディション・ジャックも含めて、黒須カナタと稲穂信が共謀している疑いがあります。

葉夜編

エンディングで、野乃原葉夜は、鷺沢一蹴の新居にやって来るわけですが、野乃原葉夜はどうやって鷺沢一蹴の新居を調べたのでしょうか?鷺沢一蹴は、携帯電話を持っているので、おそらく、固定電話は引いていないでしょう。 仮に、固定電話を引いていたとしても、電話帳に掲載する必要はないはずです。 よって、電話帳から調べたという線は薄そうです。 鷺沢一蹴は新住所をカナタにも教えていないと言っています。 そうすると、新居の住所を知っているのは、鷺沢一蹴の両親か鷺沢縁だけでしょう。 彼らに連絡する手段を持った人物としては、稲穂信か力丸紗代里がいます。 やはり、どうも、稲穂信が関わっていそうな感じですね。

卒業編〜True Story

コンクール前日、稲穂信は鷺沢一蹴に飛田扉の居場所を聞かれて、分からないと答えます。 しかし、翌日、公園に現れた飛田扉は稲穂信に呼び出されたと言っています。 おそらく、あの会話の後、力丸真紅郎などの飛田扉の連絡先を知っていそうな友人に問い合わせたのでしょう。 もし、稲穂信が飛田扉を呼び出さなければ、鷺沢一蹴は飛田扉に遭遇できなかったでしょう。

離れたのは誰か?

具体的にな描写を見てみると、近づこうとする稲穂信と、遠ざけようとする鷺沢一蹴の様子が良く分ります。

学園編〜いのり

編〜カフェ編 ならずやで一年前に起きた事件の回想をまとめると、次のとおり。

  • 鷺沢一蹴は白河静流がバイトの面接に来る数ヶ月前からならずやに勤めていた
  • 店長は、白河静流と口論の末、味を落としてまで店の方針を変更した
  • 稲穂信の初来店時、鷺沢一蹴と稲穂信はつかみ合いの喧嘩をしている
  • その後、稲穂信と白河静流から、以前のならずやの商品が盗作だったことを聞かされる
  • そして、鷺沢一蹴は、盗作された人が稲穂信にとって大事な人だという印象を受けた
  • 白河静流は、ならずやは変わったと言って稲穂信に新しいスイーツを出した
  • それを食べた稲穂信は、まずいと言いつつも、新しいならずやを認めた
  • 数ヶ月後、稲穂信は黒須カナタを連れて二度目の来店
  • 黒須カタナは無愛想で第一印象は最悪。鷺沢一蹴は「モデルは高飛車」と思った
  • 鷺沢一蹴は、前のならずやより今のならずやの方が気に入ってる。

つかみ合いの喧嘩をしたのは、第一印象として最悪です。 しかし、

  • 稲穂信が食って掛かった動機
  • 稲穂信と盗作された人物との関係
  • 新生ならずやの努力を認めた
  • 店長代理=白河静流から一目置かれている

等が分かっているのだから、鷺沢一蹴も稲穂信を見直すことができたはずです。 しかし、鷺沢一蹴は最後まで稲穂信を見下しています。

稲穂信は、二度、鷺沢一蹴の部屋に押し掛けて、冷蔵庫を勝手に物色してます。 このことから見ても、稲穂信は、鷺沢一蹴のプライベートにかなり深く踏み込もうとしていることが分かります。

鷺沢一蹴が黒須カナタに飛田扉のことを聞いたときの描写です。

なにしろ、オレの中で『こいつにだけは弱みを握られるなリスト』の双璧にランクされているのが、シンとカナタだからな。

よって、鷺沢一蹴は稲穂信に全く気を許していません。

花祭果凛がらみの次の台詞からも、鷺沢一蹴と稲穂信の相互認識が良く分ります。

信「ノンノン!一蹴、オレはおまえのなんだ?」
一蹴「邪魔者。敵。近所の怪しい住民。むしろ有害指定人物」
信「マ・ブ・ダ・チ!分かるな?マ・ブ・ダ・チ」

卒業記念パーティのとき、稲穂信は合い鍵で鷺沢一蹴の部屋に侵入しており、このことから見ても、稲穂信は、鷺沢一蹴のプライベートにかなり深く踏み込もうとしていることが分かります。

次の描写は稲穂信の変化を示しているのでしょうか。

信「あのな、世の中にはいろいろな意見があるけど。オレは、男女の間で親友関係は成り立たないと思ってる」
一蹴「・・・あんたは、ほたるさんや静流さんと仲いいじゃないか」
信「そりゃ、きちんと距離を保ってきたからな。向こうはどう思ってるか知らないけど、オレにとってあのふたりは、親友じゃない。知り合いだ」
信「知り合いと親友の差はでかいぜ。それは、仲がいいとかそういう問題じゃねえんだ。どこまで相手に踏み込んでるかってことなんだよ」
一蹴「それって・・・寂しくないか?」
信「オレはそうやって生きてきた。それだけのことさ」
信「でも、おまえといのりちゃんの関係は、オレとたるたる、オレと静流さんの関係とは違う」
信「なにしろ付き合ってたんだからな。お互いに踏み込みすぎてる」

これは完全な言葉のアヤですね。 稲穂信には、2ndで好意を持っていたけれど白河静流には全く相手にされなかった過去があります。 また、白河ほたるは伊波健にゾッコンであり、稲穂信には付け入る隙がありません。 つまり、犯罪行為に走らない限り、稲穂信と彼女達が「男女の間」になることは有り得ません。 だから、「親友関係」が成り立ってるのであって、その前提が崩れれば話は変わってきます。

しかし、立ち入った話をすれば説明が長くなります。 それに、「男女の間」になり得ない事例と一度「男女の間」になった事例は全然違うため、鷺沢一蹴にとって全く参考になりません。 だから、鷺沢一蹴にも当てはまる話として、「男女の間」になることを前提に「距離を保ってきた」として「親友じゃない。 知り合いだ」と即興で話を作ったに過ぎません。 そして、鷺沢一蹴にも同じこと、つまり、陵いのりと距離を保って付き合うことができるかと問うているわけです。

紗代里編

鷺沢一蹴が、力丸紗代里と稲穂信をくっつけようとしたときの描写です。

信「いつもはオレのこと邪魔者扱いするくせに、今日はやけに突っかかってくるじゃんか」

稲穂信には邪魔者扱いされている自覚があるのですね。

稲穂信が力丸紗代里に言った次の言葉は、他人との一切の関わりを否定した物でしょうか。

信「誰かに・・・迷惑かけるのは、ごめんなんだ」
信「いつ消えちまうかも、分からないだろ?」
さよりん「そんな・・・!そんなことあり得ないです!」
信「あり得るさ。こうして生きているのは、ある意味奇蹟的なんだ」
信 「過去に、何度も死にそうになった」
信「そういう状況に陥ったときに、『残してきた誰か』の悲しい顔を思い浮かべるなんて、まっぴらなんだよ」
信「楽しかったことだけ考えて、消えていきたいんだ」


信「そんなに言うなら、覚悟を聞いてやるよ」
さよりん「え?」
信「君は・・・もしオレが死んだとき、泣かずにいられるか?」
さよりん「そ、そんなの無理に決まってるです!」
さよりん「信さんが死んじゃったら、あたし・・・」
さよりんは、ブンブンと首を振った。
さよりん「想像もしたくないですっ」
信「君は・・・もしオレが死んだとき、あっさり忘れて前に進んでいけるか?」
さよりん「無理に決まってるです!」
信「不合格♪」


信「それがオレの距離感なんだ」
信「逃げてるのかもな」
信「けどさ、残された人間の苦しみを・・・オレはよく知ってるからさ」

これが稲穂信の本心だったと仮定しましょう。 すると、これは、男女交際を断る口実として述べられたので、「男女の間」の恋愛関係に適用されると考えられます。 しかし、同性間の「親友関係」にまで適用されるとする根拠はありません。 人が死ぬ悲しみに男も女もないだろうと言ったとしても、それは、稲穂信の言葉が同性間の「親友関係」にまで適用される根拠にはなりません。 何故なら、一夫一婦制を前提とすれば、つまり、二股を認めないなら、恋人を失う悲しみと友人を失う悲しみは同等とは言えないからです。 唯一の人生の伴侶と友人の1人では、悲しみの大きさも、その後の立ち直りの早さも違います。 死ぬ側の心残りという点でも、その重さが全く違います。

鷺沢一蹴と親しい関係を築こうとしてる稲穂信の多数の言動との整合性を考慮すれば、稲穂信のこの言葉は、少なくとも、同性間の「親友関係」には適用されないと考えるのが妥当です。 また、交際を断る口実なのだから、未練の残らないようキッパリと諦めさせるために多少の方便はあると考えるのが自然でしょう。 よって、稲穂信が同性間の「親友関係」を拒絶しているとは、全く言えません。

悪魔?

稲穂信は、知っていることをその場で伝えず、情報を小出しにして話がこじれるのを楽しんでいるなどと言う人もいます。 それは本当でしょうか。

  • 陵いのりが別れ話を持ち出した理由
  • 藤原雅の家庭の事情
  • 鷺沢縁と鷺沢一蹴の血がつながってないこと
  • 花祭果凛が自分を嫌いな理由
  • 野乃原葉夜の秘密好きの理由

これらプライベートな情報について、稲穂信から得た物はひとつもありません。 つまり、小出しどころか、全く出ていないのです。 知らないから全く言えないのであって、情報を隠していることを示す描写は全くありません。

まとめ

確かに、3rdから稲穂信の性格は大きく変わってますね。 しかし、それ以降の性格の変化は認められません。 おそらく、3rdでの出番が多かったために、相対的に出番の減った4th以降では、脇役っぽく感じるのでしょう。 しかし、こと、重要な場面に限って言えば、決して、存在感は低下していません。

Last modified:2010/04/30 01:27:55
Keyword(s):[メモリーズオフ]
References:[メモリーズオフ5とぎれたフィルム稲穂信考察]
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