メモリーズオフ6Next Relation(ネクストリレーション)レビュー
超ネタばれなので、プレイ前の人は読まないことを勧めます。
個別ルート
鈴ルート
本編では殆ど見られなかった稲穂鈴の乙女心が良く表現されている。 説明努力が欠けている所や鈍感すぎる所、塚本志雄が少々ヘタレになっているのは残念。 とはいえ、シナリオ全体のうちヘタレ成分を見せるのは少しなので、ファンディスクとしてはまずまずではないだろうか。
結乃ルート
稲穂信の台詞が一言もない・・・のは置いといて。 春日結乃も塚本志雄も、本編とは完全な別人。
塚本志雄は、本編では包容力や状況判断力があったはずなのに、今作では独り善がりな大馬鹿者に成り下がっています。 コンクールの方向性で衝突する部分では、本編の塚本志雄なら、自分の独り善がりな考えを強引に押し通そうとはしないでしょう。 春日結乃は、本当の理由を隠しているものの、表向きの理由は一応筋が通ってます。 それならば、お互いに冷静に話し合って妥協点を模索する、本編の塚本志雄ならそうするはずです。 この衝突は、春日結乃の変化にも原因があるけれど、それは後述します。
また、水族館では、二人の関係の危機を自覚しながら、根拠なき気休め=現実逃避に走るなど、本編と全く別人です。 本編の塚本志雄なら、今何をすべきかを真剣に考えて行動するでしょう。 本当に相手のことを思って気分転換しようとしているなら、責めるような言い方もしないはずです。 相手が望んでいることを知りつつ、それを受け入れる余地もあるのに、引っ込みがつかないという理由だけで、相手が強く言わないと受け入れない、という言動も本編の塚本志雄らしくありません。 そして、ギクシャクしていることを自覚しながら、「明日になればすべてが順調に進み始めてくれる」なんて現実逃避もあり得ません。 詳しく説明するのが難しいなら、せめて「今、頭の中にあるアイデアを一晩整理して明日話し合おう」という一言でいいのに、それすら言えないのは本編の塚本志雄ではありません。
デモテープを受け取ってもらえないと勘違いして逆上するところの馬鹿さ加減も、本編と全く別人です。 まず、本当に受け取ってもらえなかったのか状況確認を疎かにするような早合点は、本編とは違います。 仮に、受け取ってもらえなかったとしても、シタ手に出てお願いすれば相手の気が変わる可能性もあります。 しかし、逆上して相手を怒らせてしまったら、そうした可能性すら潰えるでしょう。 本編の塚本志雄は、そうしたことを考慮して、怒りをこらえてシタ手に出ることの出来る子でした。
春日結乃と連絡がつかないからって、一言も断りなく秋津神奈と組めば、ヤキモチ焼かれるに決まってます。 秋津神奈に相談するだけでヤキモチを焼かれるんだから、それは当然のごとく予想できることです。 それが分からずに、軽々しく他の女と仲良くするなんて、女心を分からないにも程がある。 まあ、そうした鈍感さだけは本編と変わってないのだけど。
春日結乃についても、ちゃんと話し合わずに衝突したり、理由も述べずに不機嫌な態度を取ったりするのは、本編とは別人過ぎます。春日結乃については、交際によって猫かぶりがなくなったと解釈できなくはない・・・ということはない。 確かに、ペンネームを知られてないうちは、猫をかぶっていたのかも知れない。 しかし、お互いの正体がバレた後は、遠慮なく物を言えるようになったはずです。 というより、秋津神奈と連絡が取れなかった頃は、春日結乃にとって、塚本志雄が唯一本音で物を言える相手だったのではないでしょうか。 それでも、春日結乃は、気遣いのできる良い娘だったはずで、それが、交際したからって、アソコまで変わるのは落差が大きすぎでしょう。 いや、猫をかぶっていたとしても、交際が思うように進展していない段階では、まだ、本性を現すの早すぎます。
このような人格変化は、全て、神奈エンドのためでしょう。 神奈エンドを入れるためには、春日結乃との破局展開が必須になります。 何故なら、春日結乃と秋津神奈は親友であるので、破局なしに秋津神奈にコナを掛けるのでは鬼畜過ぎるからです。 コンシューマのギャルゲーである以上、鬼畜展開は御法度なのでしょう。 ところが、春日結乃と塚本志雄が、本編のままの設定だと、破局展開を作るのは困難です。 本編のままなら、お互いに気遣い合うはずなので、衝突することが殆どないでしょう。 仮に、一方が何らかの都合で嫌われるような行動を取ったとしても、もう一方が修復に動くでしょうから、多くの場合で衝突が回避できると思われます。 運悪く、双方が相手から嫌われるような行動を同時に取る、という展開を描くのは非常に難しい。 それなのに、強引に破局の可能性があるようなシナリオを描こうとしたから、大きな無理が生じたのだと考えられます。
しかし、そこまで無理して神奈エンドを入れる必要があったのでしょうか。 そんな無理をするくらいなら、神奈エンドを削ってでも、後日談らしい話にした方が良かったのではないでしょうか。
この件について、ライターさんの言い訳。
『神奈ルートを入れたことによる弊害』。
これを指摘する方がいらっしゃるのであれば、こちらが苦しくなる面もあります。
まず、キャラが本編と多少変わらざるを得ない。
特に志雄。
本編当時の彼であれば、おそらく、NRでの結乃との危機的な状況を迎えることさえなかったでしょう。
FDで攻略可能キャラに昇格するが、あくまでサブキャラ扱いのために、話がメインキャラから派生することとなり、超人気キャラをふるというお話にせざるを得なかったK・Aさんの場合。
今のゲルマニウムが誰なのか。2人は調査を始める。
「ゲルマニウム」の名前で投稿を再開してみたり。
事情を察したパーソナリティはあえて、別々のゲルマニウムの投稿を同じペンネームで読み続けた。
投稿の微妙な違いを、多くの常連リスナーは感じ取り……やがて、それは1人の少女にたどり着く!
ですが、「独立した完全に一本のルートで」という希望に応えるならこういう話を提案したと思います。
本編並みの容量をもらえれば、悪くない話にできる、とは思います。
しかし、問題は、肝心のビジュアルでの登場が、かなり物語の終盤にせざるを得ないこと。
ライターさんも、かなり苦しい展開であることは自覚されている様子。 神奈エンドを入れろとのファンの要望に応えることと、ファンDISKで出来る範囲を考慮すれば、この展開は止むを得ないのかも知れない。
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