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セパレイトハーツ レビュー

ギャルゲーとして

ギャルゲーとして見ると、ちょっと反則技でしょう。 主人公の星川純一にとっては、双葉碧も水瀬藍も燈香朱も、単なる日向ひかりの面影の一面に過ぎません。 だから、彼女達が居なくなっても、全然、寂しいとも思わないわけです。 しかし、プレイヤーは、双葉碧も水瀬藍も燈香朱も、日向ひかりとは別の存在と認識しているわけで、今更、彼女達が架空の存在だと言われても、「はい、そうですか」とは納得できないものがあるわけです。 深月真夜は、一応、実在の人物であるだけに、納得せざるを得ないとしても、双葉碧と水瀬藍と燈香朱は何だったのかという疑問が残ります。

メイン・ヒロイン

ヒロインが死んでいて攻略不能というパターンは既にメモリーズオフでやってしまっているので、二番煎じは無いだろうと誰もが思うでしょう。 そうすると、死んだはずのヒロインを攻略するには、生き返るか、あるいは、実は死んでなかったという展開が必要になってきます。 その展開としては、とりあえず、次の3通りが考えられるでしょうか。

陰謀

何者かの陰謀によって、生きているのに、死んだことにされてしまっている・・・という展開だと、リアリティのあるドラマが期待できそうです。 シナリオライターの西ノ宮勇希氏は他社のゲームで巨悪との対決を面白く描いた実績があるだけに、そうしたシナリオを期待してしまったりするわけです。 双葉碧が陰謀だと騒いだりするシーンがあるので、もしかしてと思ったりもします。 鏡見透や深月真夜の言動も、それぞれが、別の意味で妙に怪しかったりします。 しかし、水瀬藍ルートでの出来事が陰謀だとすると、その壮大なスケールと見合うだけの、壮大な目的が見いだせないため、どうしても無理があります。 そして、非現実的な描写も多々あるので、陰謀では十分な説明が出来ません。 ということで、陰謀の可能性は、早々と無くなります。

SF

infinityシリーズでは、いつも、このパターンです。 しかし、ギャルゲーでSF的展開に持ち込んで、死者が復活するのでは、どうしても、陳腐な話になりがちです。 そうならないようにするのは、かなり、難しいため、可能性としては低そうです。 結局、最後まで可能性として捨てきれないものの、「やっぱり違うんだろうなあ」とも思ってしまうわけです。

夢オチ

使い古されたオチです。 しかし、セパレートハーツはオチを推理することがメインではなく、夢オチだからこそ出来る心理描写もあるわけです。

心理描写

メモリーズオフも、主人公が訳ありだったりしますが、その心理描写については、あまり、深い所まで描かれていません。 それに対して、セパレートハーツは主人公の心理描写の固まりです。 主人公の心の傷の原因、状況、そして、それを克服する過程が、実に、細かく描かれています。 主人公は、メモリーズオフ同様にヘタレなわけですが、メモリーズオフと違って、ヘタレである合理的理由が示されており、プレイヤーとしても「それじゃあ、しょうがねえな」と納得できる部分があります。 そうした、ヘタレな主人公への感情移入もしやすく、心理描写の面白さという点では、新境地を開いたと言えるのではないでしょうか。

Last modified:2010/04/29 22:02:20
Keyword(s):[セパレイトハーツ]
References:[シリーズを超えたゲーム]
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